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「千代菊はん、妄想がはみ出てますえ。押さえてくだはい」
「あら…」
明里さんの一言で千代菊さんの裏の言葉が消えます。
あぁ…、よかった。
「堪忍な。千代菊はんは可愛い子が好きなんよ」
「いえ、気にしなくていいですよ」
ニコッと笑うと千代菊さんが頬を赤らめながら「可愛すぎて、食べてしまいそうやわぁ…」と言っていた。
なんか涎を啜る様な音が聞こえたけど…気のせいでしょうか。
「…太夫、千代菊って変人ですかィ?」
藤堂さん、もっと声を押さえて言ってください!
すると千代菊さんはムッと怒ってそっぽを向きました。
「別に変人やあらへん。ただちょっと可愛い子が好きなだけや」
ちょっと!?ちょっとだけで妄想がはみ出したりするんですか!?
すると千代菊さんが私に近づいてきて顔を撫ではじめました。まるで犬を撫でる様な手つきです。
「ほんま可愛いわ~!名前はなんて言うん?」
「天宮…蒼蝶です」
「蒼蝶ちゃん言うんか!名前も可愛いんね~!」
…これは確実に男装がバレていますね。千代菊さんって意外と鋭い人だ。
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