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その後、千代菊さんのお気に入りとなった私は、ずっと隣に座らされていました。
もちろん、千代菊さんはちゃんと芸子の仕事をしていましたよ。
先ほど舞を舞ってくださったのですが、凄く綺麗でした。
「蒼蝶ちゃん、これも食べて」
「はい、ありがとうございます」
千代菊さんが私にお料理を持ってきてくださいます。でも、もうお腹がいっぱいです。
それに、部屋にお酒の臭いが充満していて、少し酔ってしまいました。
少し外の空気を吸いたいです。
「千代菊さん、私ちょっと外の空気を吸ってきます」
「そうかえ?いってらっしゃい」
「はい」
千代菊さんから離れ、皆さんに気付かれない様に部屋の外へ出ました。
「ふぅ…」
近藤さんが開いてくださった歓迎会、楽しいけど疲れましたね。それに少しだけ眠いです。
もうすぐ寝る時間だからでしょうか。
「?…あれは」
欠伸を噛みしめながら歩いていると、ひとりの男性が廊下の欄干に凭(モタ)れ掛りながらお酒を飲んでいました。
柔らかい風が吹く度に、男性の少し癖のある短髪が揺れます。
月の光に照らされながらお酒を飲む姿はどこか儚くて、でもとても綺麗でした。
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