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その後、近藤さんや斎藤さん達と協力して酔い潰れた方々を屯所に運びました。
自室に戻り布団に入るとすぐに眠りの世界へ。
いつもなら寝る前に、ホームシックの様な不安に襲われるのですが、今夜はすぐに眠る事が出来ました。
朝になるとすぐに目を覚まし、日課のトレーニングと道場の雑巾がけを終えます。
「井上さん、おはようございます」
朝食を取りに勝手場に行くと、朝食の準備をしていた井上さんがいました。
井上さんはすぐに「おはよう」と挨拶をしてくださいます。
「すまないね。まだ、準備が出来てないんだ」
「そうですか。だったら手伝います」
「それは助かる。だったら天宮君はその鍋に味噌を入れて、分けてくれるかな」
「はい」
私は味噌汁を作り、それぞれの器に分けました。先ほど味見はしましたが、なかなか上手に出来たと思います。
「ありがとう、天宮君。君のおかげでずいぶん早く終わったよ」
「いえ、お役にたてて良かったです」
「何?君も作ったの?」
井上さんと話していると、不機嫌な声が聞こえました。
そこにいたのは組長です。
「毒とか入れてないよね」
「‥‥‥」
「総司!天宮君がそんなことをする訳ないだろう!ほら、早く広間に膳を運んで!」
「は~い」
組長が並べてあった膳を運んで行きます。
「すまないね。本当はもっと優しい子なんだけど…」
「いえ、気にしないでください。じゃあ、私、部屋で食べますね」
私は部屋へ戻りました。
ひとりになった途端、涙が溢れそうになるけど、歯を喰いしばって堪える。
そして両手で顔を挟むようにして叩いて気合を入れました。
「見てなさいよ。今日の私は一味も二味も違うんだから!」
私は膳の前に座り、勢いよく朝食を平らげました。
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