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「土方さん、天宮です。入ってもよろしいでしょうか」
「入って良いぞ」
「失礼します」
朝食後すぐに、私は土方さんの部屋へ訪れました。土方さんはお仕事中だったのか、眼鏡を掛けています。
「どうした」
「今日、町に行こうかと思いまして、その許可を貰いに来ました」
「町に行って何をするんだ?」
「それは…もちろん買い物を…」
「金はあるのか?」
「‥‥‥」
実を言うと、お金は殆ど持ってません。師匠から頂いたお金はすでに底を尽きそうです。
すると土方さんが溜息を吐きました。
そして文机から何かを取り出しました。
「ほら」
「…?ありがとうございます」
手渡されたのは布の袋でした。ずっしりと重量があります。
中を見るとお金が入っていました。
「あの、これは…」
「俺と近藤さん、後山南さんからだ」
「え!?どうしてですか?私、隊士として何もしていませんよ!こんなに沢山受け取れません!」
すると、土方さんはまた溜息を吐きました。
「それはここ一週間のおまえの働き分だ」
「だから私は…!」
「おまえ、朝から道場の掃除をしたり、朝食の手伝いや洗濯物を干したりしてんだろ?斎藤と井上さんが言ってたんだ。
それはちゃんとおまえが働いて稼いだ金だ。だから臆せず使え」
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