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高くそびえ立つ古城の大広間。 そこに相対する者たちがいた。
ユラユラ燃える炎を灯した金色の剣を手に持つ少年。その傍らには手に冷気を纏わせた美しい少女が。
そして彼らに敵対する者。
大広間とはいえ、そのサイズは人知を超えている。 巨大な蛇の頭を全身から生やし、獅子の顔をもつこの世の者とは思えない容貌の怪物だ。 これは…この世界の魔物。
この世界は魔物によって支配されていた。
「ギィヒヒ……ここから先へは……」
「はぁっ!」
魔物の言葉の途中、勇者は先手必勝とばかりに金色の剣で魔物の身体を一刀両断する。
この世界はゲームのようにターンなど馬鹿げたものはない。 死ぬか生きるか、それだけの世界だ。
「ドフュッ!?そ、そんなバカな……!」
「これで終わりね!」
勇者の側にいた少女は魔物を完全に凍らせる。 すると魔物は光の粒子となって消滅してしまった。
……
「ここから先へ進みたければ我を倒すんだな」
「俺たちは負けない……皆が待ってるんだ!」
「ドフュァッ!?な、なんて事だ……我が…敗北するとは……」
「あなたは間違った人の味方についたようね」
「……終わりだっ!」
魔物が何体も待ち構えるこの城は魔王城。
この世界を支配する魔王の存在する途轍もなく巨大な古城である。
勇者とそのヒロインは魔王の待ち構える部屋へと遂にたどり着いた。
「やっと着いたわね……さぁ最後の闘いに行きましょう!」
「あぁ、これまでの闘いで傷ついた仲間の為にも俺たちは負けられない!」
2人は魔法を発動できるように魔力を生成し、椅子に座る魔王へと立ち向かう。
『……フ、ハハハッ!!』
「……何がおかしい?」
『いや、何もねぇよ。来いよ』
「「ハァァァッ!」」
「はぁはぁっ……くっ、皆が……待ってるんだ」
『……何だ?
その、光は!?』
全身を金色に光らせ、最後の一撃とばかり魔法を発動する勇者。
「……これでこの闘いも終わりだぁぁ!」
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