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「やられたなぁ……」
風見さんが天井を仰ぎながら言う。
「えへへー、どうですか? その重い大剣を一度抜かせてしまえば、そう簡単に逃げられなくなりますからね。作戦成功です」
満足そうな顔で、洋子ちゃんがフィールドの電光掲示板を見る。
「……?」
だが、いつまで経っても勝利者の名前が表示されない。
「……あれ?」
「んっふっふ~」
今度は風見さんが笑う番。
「……嘘」
まさかと思い洋子ちゃんが視線をフィールドに戻すと、爆発の煙が晴れている。
するとそこには、傷一つ無いヴィードの姿があった。
「え!? あ、あり得ないですよ! だって、あのタイミングでどうやって……っ」
ヴィードの立ち位置が、爆発の中心点から大分離れた所へと移動している。
……あの一瞬で、安全圏までどうやって脱出した?
「いやー、危なかったよねー。まさか私も成功するとは思わなかったもん」
「ど、どうやったんですか!?」
風見さんが説明する。
「ほら、大剣」
「大剣?」
「うん。大剣をちょうど爆発の中心と垂直の向きになる様に傾けて、剣の腹で爆風を受けたの。そして、爆風を受けるのとほぼ同時に、剣の反対側の腹を蹴って――」
「爆風の勢いを利用して、剣を足場にジャンプして逃げたって事ですか!? いやいやいやいや、ありえないですからそんなの!」
洋子ちゃんの言う事も最もだ。
つか、俺もあり得ないと思う。
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