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ねぇ、知ってる?
何が?
あのスーパーでさ、また頭の可笑しいイケメンが出たらしいよ。
あぁ……例のあの。
めぐちんなんてさ、興味本意で話しかけたらしいけど……本当にヤバイって!
何が? ってか、ヤバイの何て前々から承知だったんじゃなくて? たまに見掛けるよ、独り言喋りながら歩いてるの。
違う違うって!! 凄い宗教臭いらしいの!
……へぇ、変な壺でも買わされたりしたの?
都市伝説とかを信じますか? とか、どんな妖怪が好きですか? とか、そういうの聞いてくるんだって。
キモッ……でも、アレでしょ? あの店員さんはよく話してるじゃん、あんなのと。
あの店員も頭可笑しいからねぇ、中学の時同級生だったけど……冷血って感じで。
毎日猫を貪ってるって噂だったし……。
ハァ?
捨て猫とか見ると、拾って持って帰っちゃうんだって。それからその猫を見た人はいないらしいから……。
うーん……それって、普通に優しいんじゃない?
らしい、らしい、らしい――――と。
人の噂は伝説に。
? ? ?
青い瞳が見据えるのは現か夢か。彼の姿を見据えるのは、悲哀の色か。好色か。
青年は見るからに重さを感じさせる袋を両手に下げ、そのどちらもを気にせずにその場を後にする。
その嫌でも関心を集める風貌。だが、彼に視線を向けるのは――人間だけではないのかもしれない。
「いやぁ、皆さん……本当に昼間からお元気で」
道行く所に彼等はいる。
だが、決して――それら彼等に見えはしない。童心を忘れた彼等には見えぬ伝説。
都市伝説――――
雲一つ無い快晴の下。
男は僅かに口角を上げ、小さく呟いた。
「……今日もまた、誰かが困っているようですね」
? ? ?
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