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錆はついてるわ、人気はないわで何か心霊スポットみたい。
一体何を作っていたのだろうとさえ思っちゃうよ。
「......ここって何の工場でしょうか......? 」
「知らねぇな......それより、『ドッグハント』の野郎はどこだよ?」
青人先輩は辺りを警戒しながら、周りに落ちている石を蹴りとばす。
辺りに広がるのは、石が転がる空しい音だけ。
......いきなりバックアタックとかサイドアタックとかはなしだよ?
「呼び出しといて何なの、全く......」
「油断するなよ。どこに潜んでいるか分からんしな」
溜め息をつく真命に、ジークはそう注意を呼びかける。
すると......
「どうも、『ドラゴンハート』の諸君。ごきげんよう」
突如、謎の青年が工場の影から姿を現して、一礼をする。
蒼の髪色、黄色の瞳。そして、ここら辺では見ない格好......明らかに日本人じゃないよ。
ふと、ジークたちの方を見ると、二人の表情には手紙を見ている時よりも、更に強い敵意があった。
「あんたが手紙の差出人?」
真命は軽く睨みながら、相手の様子を窺う。
「如何にも。私はドーベル。『ドッグハント』のリーダーをしている。そして、こちらが......」
ドーベルと名乗った青年が手を工場の影に向けると、四人の男女が姿を現す。
一人じゃないと思ってたけど、まさかこんな戦隊モノ並の人数だなんて......
「ヤッホー!あたし、テリアって言いまーす!」
程よい長さの金髪を、ツインテールの様に束ねた小柄の少女は、笑顔で敬礼をする様に名乗る。
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