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「......そうだったんだ」
「アハハ、そんな悲しそうな顔しないで下さい」
家族を亡くしたということに、境遇を重ねてしまったであろう深先輩は、悲壮の表情を浮かべていた。
んんん............!シリアスは私に似合わないのにー!シリアスブレイカー!ルー○ブレイカー!
「えっと......悪ぃな、鳴上......」
青人先輩は、申し訳なさそうに頭を下げる。
「ハハッ、気にしないで下さい」
「......おう」
「恵美。良かったら親父殿のことを聞いてもいいか?」
ジークは真摯な声音で、私を見据えて尋ねる。
お父さんの事か......
「うーん......でも、私もあまりお父さんのことを覚えてないんだよね......」
私は頬を掻いて、照れ笑いを浮かべる。
いやはや、恥ずかしい......
「どうしてなんだ?」
「恵美が物心つき始めた頃に亡くなったからだよ」
首を傾げるマリアナに、私の代わりに説明をする真命。
それを聞いたマリアナは「そうか......なら納得だ」と呟いて俯く。
「私のお父さんは警官だったんだって。それで何かの事件の調査をしてる時に殉職したってお母さんが言ってた」
「......そうなんだ」
深先輩は私から視線をそらしながら呟く。
「私、お父さんの事あまり覚えてないけど、寂しくないよ」
「......どうしてですか......?」
努めて笑顔を作る私に、華菜は無表情で問う。
「だって、お母さんが、皆が、ジークがいるもん!」
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