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「え、恵美......そこで俺に抱きつくな......」
思いっきりジークを抱く私に、ジークは照れと戸惑いを混ぜて明後日を向く。
その後観念した様で、一つ溜め息をつく。
「それに今は誰かのために動いてる。それだけで私はとても嬉しいんだ」
「恵美って、やっぱり強いね」
「そうだな。俺なんかより断然だな」
「いや、青人先輩より強いのは当然です」
「おいこらどういう意味だ......!」
「アハハ!」
懲りずに茶化す真命に、それに怒る青人先輩。それを見て、私はホントの笑顔を浮かべる。
そんな湿っぽい会話をしていた中、空気を壊すかのようにお母さんがリビングに戻ってくる。
ある意味良かった......それにしても、終わったのかな?
「ねえ、恵美。ポストに手紙が届いていたわよ」
「......?何だ......?」
ジークは首を傾げて、お母さんの手にある手紙を見る。
私はお母さんから、誰からだろうと思いつつも謎の手紙を受け取る。
「誰からなの、恵美?」
「うーん......これ、差出人の名前が書いてないよ?」
興味あり気に手紙を一瞥して、私に問う真命。
私は手紙を裏表ひっくり返しながらそう答える。
何で無名......?宛先には私の名前があるし......はっ!まさかラブレター!?
「ではないと思うよ?」
「ちょっ!?心読まないで下さい!?」
はー......びっくりしたー......まさかの深先輩の読心術......
まあ、差出人の名前は中に書いてあるだろうね。
「何て書いてある?」
「今見てみるね」
マリアナの催促に私は頷いて、謎の手紙の封を切る。
手紙を開き、内容を読み上げることにする。
ちなみに、ラブレターじゃなさそうだった。
やっぱり、そう簡単にラブでプラスな展開にならないか......
「えー何々......鳴上恵美さん、『ドラゴンハート』の諸君、ごぎげんよう」
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