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私の言葉に彼女は少し悩んでいるようだった。
そして、キョロキョロと視線を動かし、周りを気にながら小声で言った。
「…うれしいけど…明日は室長と一緒にいられたらな…って…」
室長という言葉を発する時の彼女の声が一層小さくなった。
「そっか…。そうだよね。一緒にいたいよね。じゃあ…」
「あ、でも、まだ室長に相談してみたわけじゃないの。会社じゃ…話せないし…今日、家に帰ってから連絡とってみる。もしも室長がダメだったら…桐谷さん、一緒にいてくれる?」
「もちろん。室長との約束を優先してね。私はいつでもいいから」
「…ありがとう」
彼女の顔がやっと少し柔らかくなる。
「じゃあ、決まり次第で連絡待ってるね」
「うん。ありがとう」
いつものようにとはいかないけれど、彼女は私に笑顔を向けてくれたので
私もホッとして秘書室に戻った。
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