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他の二人が彼の分を謝りながら出るのに、阿部さんの表情は不敵な笑みをたたえたまま。
彼はのっそりとエレベーターから最後に降りた。
「お前が最上階にどんなイメージを抱こうと構わない。俺のこともどうでもいい。だが、コイツも他の奴らも秘書として暇もなく働いてる。少なくともお前以上に忙しい。バカにするのはやめろ」
私は渉さんの横顔を見つめた。
…自分のことはどうでもいい…
そう言いながら私たちのことを認めてくれた。
こんな状況で、私は胸が熱くなる。
社長としての渉さんの姿に
ずっと尊敬していた会長の姿を重ねる。
会長に…
…見せてあげたいな。
私は渉さんの言葉が嬉しくて、もはや彼のことなんてどうでもよくなっていた。
「…社長」
私はこの場を離れようと、エレベーターを呼ぶためにボタンを押した。
すると、阿部さんが今の渉さんの言葉を聞いていなかったかのようにケロリとして言う。
「これから…お二人で最上階。いいなあ」
彼は唇を舐めて続けた。
「望愛ちゃんて…どっちなの？」
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