操り人形

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渉さんが振り返る。 「…知らねえな。さっきからごちゃごちゃとうるせえな。俺にそんな噂話をしたかったのか?」 渉さんは白(シラ)けた視線で彼を一瞥(イチベツ)した。 その場の雰囲気に企画部の他の二人はそそくさとその場を離れて行った。 阿部さんはというと、こういう反応には響かない。 当然いつも通りの反応を示した。 「でも…火のないところに煙は立たないって言うでしょ」 渉さんの冷たい視線はそのままだった。 「火のないところに、無理やり火をつけるバカもいる」 ちょうどその時、私たちを乗せるエレベーターが止まった。 「社長、こちらへ」 私は渉さんをエレベーターに促した。
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