3942人が本棚に入れています
本棚に追加
「…お前だけの問題じゃないんだろ。いい様にやればいい。だけどな…」
渉さんはそこで私を睨む。
「お前と菊森の噂は…おもしろくねえ。クソッ。俺の耳には入れんなよ」
ああ…
私の顔。
渉さんに怒られる…
ほら。
「お前、何笑ってんだよ?」
「…笑ってません」
「笑ってただろ」
「渉さんのヤキモチは…うれしいです」
「はあ?アホか。誰がヤキモチなんて焼くかよ。言っとくけどな、もし俺の耳にその噂が入ったら、俺の口から言ってやるからな。俺たちのこと」
「…入れないように…します」
そう言いながら時計を見る。
野崎さんを待たせてしまう。
「社長、今日はこれで…」
「『社長』ねえ。お前は切り替えが早いな。まあ、いい。早く帰って来い。今日は…お前が誰の女かちゃんとカラダに刻み込んでやる」
そんなことをしなくても
十分わかっているんだけれど。
「…わかりました。行ってきますね」
その後私はデスク周りを片付け、渉さんにコーヒーを出してからバッグを手にロビーに降りた。
最初のコメントを投稿しよう!