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怒りで呼吸が浅くなって、なんだか少し息苦しい。
私は食堂を出て駆け出すと、人気(ヒトケ)のない階段で手すりに掴(ツカ)まってしゃがみこんだ。
目を閉じて深呼吸を繰り返す。
彼女がどういうつもりであんなことを話しているのかわからないけれど、
私でさえこんなにショックなのに…
野崎さんのことが心配だった。
午後の始業まであまり時間はないけれど、私は立ち上がってもう一度大きな深呼吸をすると、営業部へ急いだ。
営業部のフロアでもまだ席は埋まっていない。
私がドアから室内を覗いていると、声をかけてくれる女性がいた。
「誰か探してるの?」
サラサラのロングヘアに切れ長の目。
社員証の名前は…
長谷部さん。
あ…。
「あの…長谷部さんですよね?」
「そうだけど」
彼女は首をかしげながら答えてくれた。
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