第二話

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日が落ちるのが早くなり、少し肌寒いと感じる。 私は風邪を引いていた。 大きなマスクは少し息苦しい。 膝の上に乗せた教科書もただ開いているだけ。 やっぱり休めば良かったかなと思っていると友達と一緒に騒がしく乗り込んでくる彼。 マスクを外しそっと見る。 変わらない光景に少し安心する。 こうして顔を見れることが嬉しくて。 友達との会話を、耳を大きくして聞き取ることで彼の最近の出来事を知れる。 …彼等の声が大きいだけ。断じてストーカーではない。 後を追いかけたりはしないし。 土地勘の無い私には、彼がどこの高校に通っているかなんて知ることも無い。 制服だけじゃ調べられないし。 一番お喋りな友達が自分の高校の名前言ってくれないかな。なんてアホな期待を持ちつつ会話に聞き耳を立てる。
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