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「ここどーぞ」
「あ、はい!」
今日の彼は別人の様に、友達と居る時と雰囲気が違う。
それに黒いシャツにお洒落なデニムで大人っぽい。
同じなのは髪の色とピアスの数だけ。
話し方も何だか落ち着いている。
と言うか…割と無口?
「ねぇ春さん」
「は、はい!」
「なんでそんな緊張してんの?」
なんでって…
そんなの正直に言える筈も無く。
「えーっと…」
「ん?」
何て答えようか考えていると、彼の気配を間近に感じる。
か!顔が近い!
「春さん?顔赤いっすよ?」
ひぇー!
彼から顔を背けるのに必死で居ると、彼はまたふっと笑う。
「なんだ。免疫無いんだね」
館内は暗くなり映画が始まる。
さっきまで暴走していた私の鼓動はすんなりと落ち着いた。
『なんだ。免疫無いんだね』
なんだって何?がっかりしたってこと?
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