第四話

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「ここどーぞ」 「あ、はい!」 今日の彼は別人の様に、友達と居る時と雰囲気が違う。 それに黒いシャツにお洒落なデニムで大人っぽい。 同じなのは髪の色とピアスの数だけ。 話し方も何だか落ち着いている。 と言うか…割と無口? 「ねぇ春さん」 「は、はい!」 「なんでそんな緊張してんの?」 なんでって… そんなの正直に言える筈も無く。 「えーっと…」 「ん?」 何て答えようか考えていると、彼の気配を間近に感じる。 か!顔が近い! 「春さん?顔赤いっすよ?」 ひぇー! 彼から顔を背けるのに必死で居ると、彼はまたふっと笑う。 「なんだ。免疫無いんだね」 館内は暗くなり映画が始まる。 さっきまで暴走していた私の鼓動はすんなりと落ち着いた。 『なんだ。免疫無いんだね』 なんだって何?がっかりしたってこと?
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