第四話

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そういえば初めて会った日も彼は私服だった。 今日の服装も大人っぽいし、口元に手を当てて笑いを堪える姿もなんだか色っぽ 「なぁ」 !! 「見ないの?」 姿勢を変えずに彼はスクリーンを指差す。 「見ます見ます!」 映画ではなく彼を見ていたのがバレていた。 「…ふっ」 また鼻で笑われた。 改めて真剣に映画を見る。 集中しようと流れる音を頭の中で反芻する。 前半全く見ていなかったから内容を理解したのはクライマックスを迎えてからだった。 でも面白い。 単純な私はそのまま映画の世界に飲まれ、隣に彼が居ることすら忘れ、主人公に感情移入していた。
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