転 -コロガル-

3/13
前へ
/15ページ
次へ
「ここ、か」 手にした小さなメモに示されていたのは、管理事務所のババァが手書きした全く理解不能な地図。 それでも迷う事なく来れたのは何て事はない。 目的の場所は、ここら辺一帯を占めるマンモス団地だったからだ。 といっても、若年層離れで空室が目立つ。 そして高齢化の波が、こんな世界にも多大な影響を与えていた。 【孤独死?】 【ああ、そこの団地。最近多いんだよ。だから民間ボランティアが入り込んでるんだ】 その善意の隙間を突くという訳か。 反吐が出る。 だが俺もそれに加担するのだから、同じ穴のムジナというヤツなのだろう。 【空いてる部屋に優先的に若いのを入居させてくれるんだよ】 【で?俺にどうしろっての?】 【とりあえず隣近所、あ、向かい上下と仲良くしてよ】
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加