第1章

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もちろん、その日家には誰もいない。少しだけのびのびと家に帰った。窮屈な日々を送っているせいか、通学路以外の道はほとんど開発していない。もちろん親に危ないと念を押されはしたけど確かに家の周辺の道は車道と歩道が曖昧な気がする。 でもこの日は、少しだけという気持ちで車でなら通ったことがある道を通った。あの日の記憶は今でもとても鮮明で、これからも忘れることのない思いでだと思う。 学校を出て、右に曲がり、まっすぐ歩く。道の脇には家が立ち並んでいて、そのなかを通るように行く。そしていくらか進むと分かれ道がある。道を分けているのは真ん中にある、ゲームショップ。この場所にはいつも四人組がたまっていると噂になっている。そしてここを左へと行く。すると、少しひらけたところにでて、横断歩道を渡る。そして今度は踏み切りに差し掛かった。踏み切りを通れば、家に帰るにはいくらか戻らないといけないがそんなことはどうでもよかった。 少しの翼を得たことで、僕はこの時、漫画を読むことよりも、ゲームをずっとするよりも、胸のなかのうっぷんが晴れていたのを覚えている。 踏み切りを渡ると一人、歩いている子が前方にいた。制服は僕と同じだから、ここも学校区なんだと、少し安心した。でも誰だか分からない。けど女の子で、学年は同じか一つ上かなというのが予想できるほど近づけた。そうして、その女の子は僕の知らない道へといく。車がちらほら通る位でその道に人は相変わらず、僕と彼女2人だった。 近づけば近づくほどになぜかドキドキする。足がきれいで少し胸があるようで、歩き方までも僕の好みだった。僕は今までそういった類の話をする友達をバカにしていた。けどいまならわかる気がする。彼女の後ろ姿は僕を誘う。もっと誘って欲しいと言わんばかりに接近してしまう。でもやっぱり期待しないほうがいいとも思っていた。こんなことは初めてだけど、もし、可愛くなかったら。そんなときには、僕は正気でいられなくなるだろう。家に帰れる自信がない。距離とかそういう問題ではない。
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