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「…どいて!あたしにこんなことしなくても、昂平の相手をしてくれる子なんてたくさんいるんでしょ!?」
だんだんと平然を装うことが難しくなっていた。
本当は息が止まってしまいそうなこと、いつまでバレずに居られるか分からない。
バレてしまってはいけない、と心の中のあたしが警鐘を鳴らしてる。
昂平が掴む力が、いつまで経っても緩まない。
どんなに平然を装っても、こんな…こんな体勢…っ。
「…とか言って。震えてんじゃん。ホントは何か期待して緊張してんじゃねーの?」
そんな嫌味な声色が、耳元で弾けた。
ゾクッとしてしまうその甘い声、それを必死ではね飛ばす。
キッと、鋭い目付きで昂平を睨んだ。
コイツのどこがよくて、みんなキャーキャー騒いでるんだ!
あたしは他の子達とは違う。
昂平を傍で感じたってあたしは頬を染めたりなんかしない。
キャーなんて言わない。
だって、キライ。
大ッキライ、なんだから!!
平然を装って、本当は怖くて震えている心を隠して、昂平から視線を外した。
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