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あたしを押さえつける、昂平の強い力。
さっきの比じゃない強い力に、どう抗っても太刀打ちできない。
ビリビリと体中に電撃が走る。
目を見開いて、あたしに触れている昂平を見た。
昂平の瞑ったまぶた。
何も感じていない、冷たいまぶた。
誰も触れたことのない唇に、昂平の唇が触れている――…。
冷やかな唇があたしの唇に分け入って、冷たい舌を絡めようとしている。
「――…っ」
その瞬間、ビリッと電流のようなものが走った。
初めての感覚に、胃の近くが握られる。
「……やっ……っっ」
そんな不埒な行動に、必死に抵抗の色を見せつけた。
ドン!と懇心の力で、昂平の硬い胸を叩く。
この感覚は、“良くない”。
体がまるで他の誰かのもののようだった。
こんな感覚をあたしは知らない。
力いっぱい押された胸に、不機嫌そうに動く目許。
強い瞳があたしを映し、昂平の手のひらに力がこもる。
漆黒の瞳に奪われる。
「キャ…!」
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