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昂平にとってあたしは、ただのおもちゃの儲けの道具。
小さい頃からずっとずっとそんな役。
中学までは我慢してた。
高校生になったら、こんな悪魔みたいな昂平と離れられるって思ってた。
だから、必死の必死で勉強して。
遊んでばっかの昂平が入れないような進学校を選んで。
たとえ幼なじみは変えられなくても、離れようと思っていた。
逃げ出せると思ってた。
…思っていたのに。
まさか、昂平も同じ高校を受験して…まさか…
受かってしまうなんて…。
ゴシゴシと力いっぱい拭った唇が、熱くて痛い。
きっと真っ赤に腫れているだろう。
溜まっていた涙が、ポツリと落ちる。
「……う…ッ…」
我慢していた涙が、さっきの涙を皮きりに
ボロボロ、ボロボロと溢れだす。
あたしのファーストキス。
あんな悪魔に、あんな形で奪われるなんて…。
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