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突然背中に感じるその冷たい声色は、今しがた話題に上っていた“唐崎昂平”。
毛先を遊ばせるパーマのかかった黒髪は、ミディアムショート。
その前髪の隙間から見える漆黒の瞳は、いつだって冷淡。
いつもあたしを見下している。
あたしの、最大にして最恐の天敵。
あたしは今広げていたノートを手のひらで隠し、カチンと固まった。
あたしの鬱憤を全て抱え込んでくれている、このノート。
悪いけど、これを見られたら……
なんて想像さえもしたくない。
「……なに?」
あたしは手のひらでノートを押さえながら、覚悟を決めて、その声に振り向く。
奴に向き合う時には、できるだけ視線を合わせない。
じゃないとすぐ、その綺麗な瞳に意識を奪われる。
そして、そのあとすぐに後悔する。
昂平の瞳が、あたしをキライって言ってるから。
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