≠1 キライ

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突然背中に感じるその冷たい声色は、今しがた話題に上っていた“唐崎昂平”。 毛先を遊ばせるパーマのかかった黒髪は、ミディアムショート。 その前髪の隙間から見える漆黒の瞳は、いつだって冷淡。 いつもあたしを見下している。 あたしの、最大にして最恐の天敵。 あたしは今広げていたノートを手のひらで隠し、カチンと固まった。 あたしの鬱憤を全て抱え込んでくれている、このノート。 悪いけど、これを見られたら…… なんて想像さえもしたくない。 「……なに?」 あたしは手のひらでノートを押さえながら、覚悟を決めて、その声に振り向く。 奴に向き合う時には、できるだけ視線を合わせない。 じゃないとすぐ、その綺麗な瞳に意識を奪われる。 そして、そのあとすぐに後悔する。 昂平の瞳が、あたしをキライって言ってるから。
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