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そこには、いつものように強大な怒りを引っさげている悪魔が君臨。
その強気な眉は不機嫌そうに持ちあがり、腕を組んで偉そうにあたしを見下ろしている。
視線を合わせないように努力はしていても、そんなの何にも役立たない。
怒っていても綺麗なその顔は、やっぱり興味をそそるから。
振り向いたことを後悔し、あたしはおずおずと今しがた向けていた机へと体を戻した。
すると、昂平は言う。
「…なんで先、帰った?」
吐き出すように。
いつも、いつもこの言葉。
一緒に帰るだなんて、今まで一度だって約束した覚えはない。
約束とは言えない。
命令でしかない。
あたしが先に帰るといつも言う。
でも、だからって…。
「き、昨日待ってたら昂平はこう言った!」
「「なんで待ってるの?」」
「…って?」
背中越しに重なった声色に、あたしはピクンと肩を揺らした。
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