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すると昂平はいつもこうする。
背中越しにでも分かるくらいの、辛辣な冷たい視線をあたしに向けてくる。
でも、あたしは屈しない。
ゴクンと鳴る喉は鞄を開ける音でごまかして、あたしは続ける。
「…別に意味なんてないんでしょ?あたしをイジメて、…楽しんでるだけ、だもんね?」
…なんて。
自分で言ってて、悲しくなる。
何が悲しくて、昂平と幼なじみ。
挨拶も要らずに出入りできる家同士。
親達の仲の良さ。
だけど昂平があたしをキライなそのわけは、ただ一つ。
それは、
“あたしが地味で冴えない女”
だから。
昂平の外見は、誰もが認めるスーパーアイドル、だもんね。
そんな自分の周りに、あたしみたいな女がいることが許せないんだもんね?
あたしは鞄の中をゴソゴソと漁りながら、早く出て行ってよと態度で示した。
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