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でもそんな“もしも”は有り得ない。
だってあたしと昂平はどう転んでも、幼なじみだから。
「…どいて」
圧倒される昂平の顔から、瞬時に視線を避ける。
昂平のあたしを見下ろすイライラした顔は、年中見ている。
…本当はそんな顔、見たくないんだよ。
感じたくない。
あたしに向ける顔は、なんでそんな顔ばっかりなのか知りたくもない。
あたしは何も感じていないというような顔をして、昂平を通り過ぎた。
…通り過ぎるはずだった。
「ひゃ…っ」
その時、突然世界が回った。
「キャ…ァッ」
グリンと腕を引かれて、あたしはベッドに尻もちをつく。
目の前にあたしを押さえつける、昂平を感じて。
昂平の綺麗な漆黒の瞳が、あたしを捕えている。
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