第1章

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けたたましいサイレンが鳴り響く。やっとサイレンが鳴りやんだと思っても、今度は男たちの怒号が響き渡る。 ここは「監獄塔」 ここには数えきれないほどの罪人が収容されている。 だがその罪人たちは自分がどんな罪を犯したのかさえ覚えていない。 そんなことはどうでもよくなってしまうのだ。ここで生き残るために必要な事ではないのだから。 ここで生き抜くのに必要なのは力。それが正義でなくとも、他人をねじ伏せるだけの力を持つ者だけが生き残れる。 力の無い者は力のある者の庇護下に入り、己を守る術を見つける。 例えその代償がどんなことでも、庇護下にさえいれば怯える毎日から逃れられる。 弱き者たちは弱いなりの知恵で己を守るしかないのだから。
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