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この「監獄塔」は七つの搭のある巨大な施設だ。外観だけを見ればここが収容施設だと思う者はいないだろう。
石造りの巨大な建物はまるで中世の闘技場のように見える。だが高い外壁の上に建つ七つの搭には翼のある髑髏のレリーフが刻まれ、その瞳は異様な光を発していた。
その姿から「堕天使の居城」とも呼ばれ、その付近に近づくものは呪われるという噂までたっていた。
その噂とは裏腹に「監獄搭」の中ではさほど争いは起こらない。囚人たちの怒号は響くものの、そこには規律で統制される一つの社会がある。
力のある者たちはお互いにルールを作り、無駄な争いを避けるようになった。
それは一人の男が現れたからだ。何故か人を惹きつけるその男をリーダーにしたグループができると、瞬く間に巨大な勢力となっていた。
あの男のグループには手を出すな。
それが暗黙の了解となり、それまであった小競り合いも少なくなっていった。
だが、それはいつまでも続く平和でないことを「監獄搭」の誰もが知っていた。
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