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エリーはタカノリのその様子を見て片方の眉を上げて見せる。扉に進みタカノリの横を通り抜けるその時、タカノリの肩をポンと叩いた。
『どうも』
挑発するように、にやりと笑うその顔を見てタカノリは顔をしかめた。その様子にエリーはまた薄笑いを浮かべる。
エリーが部屋に入るとタカノリも続いて部屋に入り扉を閉めた。エリーは部屋の真ん中まで行くと足を止めた。
部屋の奥の壁にはこの「監獄搭」の七つの搭に彫られた翼のある髑髏のレリーフが施されている。その前にある石作りのベッドに男が一人座っていた。
男は黙ってエリーに視線を向ける。その顔は見ることはできない。彼の顔はマスクで隠されている。唯一見える両の瞳からは何の感情も読み取れなかった。
『何しに来た?』
『第一声がそれかよ。つれないな、ケンジロウ』
彼が「スリーキングス」の一人ケンジロウ。彼はまるで旧友に話しかけるような口調で話すエリーに目を向けようとしない。だがエリーはそんなことはまるで気にしていなかった。
『なあケンジロウ。俺と組めよ。俺とお前が組めば、オミなんか目じゃねぇ。あの透かした野郎に一泡ふかせてやろうぜ』
エリーはケンジロウに近づいて行く。
そして彼の肩に手を置いた。
『あいつが来るまではキングは俺たちだけだった。元に戻そうぜ』
『くだらない』
ケンジロウはエリーの提案を一言ではねのけた。エリーの手を振り払うように立ち上がると、窓へと近づき外に目を向ける。
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