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「悪いな、遅くまで付き合わせて」
そう言いながら、俺は最後の食器を拭き終わり、棚へと締まった。
「なに言ってるッスか、中原くん! 私のお仕事なんだからこなすのは当たり前ッス!」
「そう言ってくれると助かるよ。……ほら、風呂入ってこいよ?」
夕食が終わった俺たち。
女子たちは先に風呂の順番があるのでおのおの入りにいった。
もちろん赤浜を待つと言っていたマイエンジェル、今井奈々も、彼女に先に入ってるよう言われて、風呂に入りに行ってしまったわけだ。
俺たちは役割分担で後片付けに決まったわけだけど、赤浜をすぐに風呂に行かせられなかったのは、ほんの少しだけ申し訳なかったりした。
「言われなくても行くッスよ……、でも、中原くんはもう少し、デリカシーを学ぶこと!」
ッス!と言い終わる前に、赤浜は部屋へ駆けていった。
そんな彼女を見送りながら、彼女の言ってきた内容が俺には少しも理解できなかった。いや、自分では普段のように話しても、女子の言うデリカシーを犯していたのかもしれない……。
今度から気をつけるように、心を決めた。
「よー、アゲハ。皿洗いは終わったかい?」
「んー、終わったぜ。夏樹はなにしてたんだ?」
「周りの散策してたわ。マジなんもない田舎だし、やることねーしな」
夏樹はそう言いながらも楽しそうに笑った。
きっと、なんもなくても大勢でわいわいできて、楽しいんだろう。
俺も同じだからなんとなくわかる。
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