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「なぜ、ニヤニヤしとるんじゃ? アゲハ」
俺はすぐに顔をしゃんとして、何気なく取り出したスマフォを、そう言ってきた少女、風祭由衣(かざまつりゆい)に見せる。
「うーん、面白いコピペ読んでたんだよ」
「これはなんじゃ?」
由衣は、俺のスマフォを奪うと、それをまじまじと見ていた。
別に彼女が、科学とは隔離された田舎からやってきた、田舎者ってわけではない。
ただ、彼女の生まれた国ではそういう文化がなかったんだと思う。
その話はまた追々だな。
「由衣ちゃん、これはスマフォって言うんだにゃ」
「すまほー?」
由衣は可愛らしく首を傾げている。
「大和説明したげてくれ、俺はちと疲れた……」
「了解にゃ! しかし、由衣ちゃんは本当に箱入りなんだねー」
「す、すまぬ」
大和と読んだ、茶髪のチャラ男はへらへらと笑った。
その会話を聞いて、由衣はしゅんとした顔で謝ってきた。
申し訳なかったんだろうな、こういうことはこれまで何度もあったわけだし。
「いいじゃないか、もの知らぬことくらい、僕にだっていっぱいあるぞ?」
「お前はただ馬鹿なだけだろ……」
会話に入ってきたのは、エンゼル部の部員となってくれた、姫川天之川(ひめかわあまのがわ)、と川田龍一(かわたりゅういち)。
天之川の珍しいフォローも、龍一が馬鹿にしたせいで、二人の喧嘩に発展した。
この二人はわりと仲が悪い。どちらも簡単に悪態をつくからだ。
毒舌と王道は、譲らずだな……。
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