第1章

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「なぜ、ニヤニヤしとるんじゃ? アゲハ」 俺はすぐに顔をしゃんとして、何気なく取り出したスマフォを、そう言ってきた少女、風祭由衣(かざまつりゆい)に見せる。 「うーん、面白いコピペ読んでたんだよ」 「これはなんじゃ?」 由衣は、俺のスマフォを奪うと、それをまじまじと見ていた。 別に彼女が、科学とは隔離された田舎からやってきた、田舎者ってわけではない。 ただ、彼女の生まれた国ではそういう文化がなかったんだと思う。 その話はまた追々だな。 「由衣ちゃん、これはスマフォって言うんだにゃ」 「すまほー?」 由衣は可愛らしく首を傾げている。 「大和説明したげてくれ、俺はちと疲れた……」 「了解にゃ! しかし、由衣ちゃんは本当に箱入りなんだねー」 「す、すまぬ」 大和と読んだ、茶髪のチャラ男はへらへらと笑った。 その会話を聞いて、由衣はしゅんとした顔で謝ってきた。 申し訳なかったんだろうな、こういうことはこれまで何度もあったわけだし。 「いいじゃないか、もの知らぬことくらい、僕にだっていっぱいあるぞ?」 「お前はただ馬鹿なだけだろ……」 会話に入ってきたのは、エンゼル部の部員となってくれた、姫川天之川(ひめかわあまのがわ)、と川田龍一(かわたりゅういち)。 天之川の珍しいフォローも、龍一が馬鹿にしたせいで、二人の喧嘩に発展した。 この二人はわりと仲が悪い。どちらも簡単に悪態をつくからだ。 毒舌と王道は、譲らずだな……。
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