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『貴様の世界には、けいたいでんわ、なるものがあるだろう?』
「ああ、あるな」
『それと同じようにこの世界にも、離れていても会話できる、魔法があるのだ。だから貴様は傍から見れば、ただ魔法で誰かと話しているだけに見えるだろう』
「そ、そうなのか……って、え? 待って、魔法が携帯の代わりって事はさ、この世界の人達ってみんな魔法使えるの?」
『言わなかったか?』
「言わなかった! ″特別に魔法を使えるようにしてやろう″って言ってたから、俺だけ魔法が使えるようになるんだと思ってた! なんかすげえがっかり」
『だがしかし、魔法を使えない貴様にとっては使えるのは嬉しいだろう?』
「そりゃ勿論、嬉しいです!」
『ふむ、素直な奴だ』
「って事で、早速魔法使ってみたい!」
『そうか、使ってみたい気持ちはわからんでもないが、こんな町中で使える魔法なんて眉毛を伸ばす魔法ぐらいしかないぞ』
「あ、やっぱいいです」
『それにしても活気のある町だ……治安があまり良くないと聞いていたが……ふむ、悪くない……』
「神様もこの町初めてなのか」
(腹減ったなあ……)
『まあな。む? 腹が減っているのか……折角だ、この町の名物タランヌラでも頂こうではないか』
「タランヌラ? ……って、なんで俺が腹減ってんのわかったんだ? 顔に出てた?」
『ああ、言い忘れていたな。寄生中は心の中を軽く読めるのだ』
「え、は、はあ!? ママママジで!? 何それ! い、嫌だ!」
『別にそのぐらい構わんだろう』
「構うわ! 禁止! 読むの禁止!」
『う、うむ……わかった』
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