Ⅳ†Ⅱ

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「蘭!」 「……清。帝が訪ねているんじゃないの?」 「………知ってたんだ」 「求婚されたってきいた…………それで清は宮入するの?」 蘭は僕に背を向けていたので顔は見えなかった。でも、蘭の手を見ると握り締められた手から血が流れていた。僕は握り締められた手を自分の両手で包み込んだ。 「父さんは宮入の話を断った。僕は宮入しないよ」 僕がそういうと安心したのか握り締められた手の力がゆるみその手は僕の手を握った。 「…………よかった」 僕は蘭を抱きしめた。蘭が泣いているから僕がいつもしてもらっているように僕も同じことを蘭にした。 そろそろ戻らないと…。 僕は蘭に別れを告げ屋敷に戻った。屋敷に戻るなり何かが割れる音がした。急いで客室に向かうと父さんと母さんは兵士たちに囲まれていた。 「チャンスはいくらでもやった…この状況でも断るのか!」 帝はすごく怒っていた。それでも父さんは 「断ります。決まりを破るわけにはいきません。」 と言う。
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