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最悪な気分だ。気持ちが悪くて歩いている途中に何回も吐いた。
足がもつれながらもいつもの湖まで歩いていった。血を早く洗い流したかった。
湖に行くと蘭がまだいた。
「………清?」
「……どうして……まだいるんだよ…」
「どうしたんだその血!?」
蘭が駆け寄ってきた。そして僕に触れようとして手を伸ばしてきたがよけた。
「蘭、もうお別れだよ…」
「どうして!?」
「……白井家は滅びる。僕は……」
帝を殺したと言おうとしたときだ。僕は何者かに両腕をおさえられ身動きができなかった。よく見ると兵士ではなかった。
「……見物だったよ」
木の陰から人が出てきた。暗くて顔はよく見えないが聞き覚えのある声だった。
月の光が木の陰から出てきた人の顔を照らす。赤城郁だ。
「郁さん……」
「赤城殿……」
「まさか天羽家のご子息と恋仲とは……しかし俺には関係ない。清をもらっていくよ」
腕を押さえている人が無理やり引っ張る。
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