Ⅳ†Ⅱ

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「清!清を連れて行くな!」 「蘭…蘭!」 彼が手を伸ばす。僕も掴もうと手を伸ばしたがつかむことができず諦めていたときだった。蘭が僕を押さえている人に殴りかかった。 「貴族を殺すことはとてもやっかいなことですが……邪魔なので死んでもらう」 郁さんが言い終わるのと同時に蘭の心臓を剣が貫いた。刺し傷からは血が流れ剣をつたって地面に一滴ずつ落ちていく。 「蘭!!!!」 蘭が地面に倒れた。僕は何回も蘭の名前を大声で呼んだ。 今すぐ蘭のところへ行きたいのに距離はどんどん離れていく。 僕のせいで…………。 連れていかれた場所は地下の暗くて汚い牢屋があるところだった。僕はそこの牢屋に入れられた。 「……郁さん…どうして僕なんですか?」 「清は俺の物だから」 口角をつりあげて笑う。その笑みがとても不気味で鳥肌が立った。 牢の壁はとても冷たかった。 閉じ込められて2年。僕の感覚や精神は狂っていた。生きる気力もなくすべてが地獄のようでどうでもよく感じる。
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