上司

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その人物を起こさないように、 少しずつ少しずつズレながらベッドから降りようとすると、 「きゃぁぁ…!」 私の体は、大きな腕に包み込めれて、 グイっと布団の中に戻される。 「ちょ、っちょっと課長!」 何、寝ぼけてんのよ! 絡められたその手をバシバシ叩いて逃げようとしてもその手は力強い。 私の首筋に顔をうずめてくるその頭をぐ~っと引き離しながら 「裕!やめてよ!」 思いっきり叫んだ私の大声に顔だけ起き上がって、わずかに目を開けた。 目と目が合うと、一瞬流れた沈黙。 「あぁ~ごめん…この手が勝手に」 そう言って彼は 反対側に寝返りを打った。 もう最低。 っていうか、なんで一緒に寝てるの? まさか… やっちゃってないよね? いやいやそれはない。 いくら酔ってても、それはない。 いつまでも隣で寝てるそいつは、 私の勤務している会社の課長。 望月裕一郎(モチヅキユウイチロウ) 私たちの関係は、 上司と部下… それと…。 高校のときの… 元カレ。
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