恵方巻きと豆撒き

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「鉄!豆拾うのと一緒に土を鍋ん中に戻すな!」 「どうせ撒くんだから一緒じゃね?」 「…あのなぁ!」 幸か不幸か豆に土が付いてても目立たないっていう…… 「颯さん、もうこれで豆撒いちゃったってことでいいんじゃないかなぁ」 「近藤局長が戻って来たら、それもう一ぺん言ってみ?」 「うう……っ。ホントにこれ全部拾うのかよ?」 「土が付いた」なんて、近藤さん嫌がらないかなぁ…昨年は小隊やら部署ごとに自由参加で花街で打ち上げ、みたいな感じらしかったんだけど。 「以前と違ってこの大所帯だ。せっかくだし、全員揃って屯所で武運を祈願するのも悪くない」 「豆撒きだと?何を呑気な」とか言われるんじゃないかと思ったら意外にも近藤さんは好意的だった。 「天子様が変わり、いよいよ兵庫が開港する。これから何が起きてもおかしくない。新撰組も改めて一つにならんとな」 近藤さんの呟きには思ったより深い苦悩が隠されていたのだったが、オレがそこまで気づくはずもなく。 強いて言えば、ついでに佐久間Jr.と幼年組の溝も埋まらないかな、と思っていた。何だかんだ冷めてるヤツも盛り上がったりするじゃん…クラス行事ってさ。
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