674人が本棚に入れています
本棚に追加
/731ページ
まず、後片付け中の台所に「監察兼取調方」…つまり、山崎さんの部下の吉村さんという隊士がやってきた。
吉村さんはやたら眼光が鋭く、無口だ。たまに言葉を発すると厳しい事しか言わない。なのにアクセントがコテコテの東北訛りだから、イマイチ緊張感があるのかないのかわからない…まあ間違ってもギャップ萌えなんかしないと思うけど。
「炊事方平隊士、佐久間啓之助の隊規違反の件について調書を作りてえ」
「た、隊規違反っ?調書っ?啓之助が?」
「左様。仮に佐久間の失踪が脱走であると判断された場合、隊の面子をかけて草の根分けても探し出し、事と次第によっては切腹を申しつける。もし万が一にも、倒幕派の間者であった場合は…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
切腹とか脱走とか間者とか(汗)。
かなり振り回されたり困らされたりはしてるけど、しょせんはガキだ。
いっぺんにそんな大それた単語おっかぶせたら流石に気の毒…脅してお灸を据えるだけなら効果あるかもしれないけど、吉村さん、どうやら本気モードだ。
「ええっと…、まさか間者、とかはないと思いますけど」
最初のコメントを投稿しよう!