千人斬りの政治学

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それに、中村さんのことを新に知らせなくちゃ……だけど今、どこでどうしているのか見当もつかないよ。 「颯さん、大変だ」 泰助が広間の方から炊事場に顔をのぞかせた。食い盛りでいくら食っても腹の減る時期らしく、仲良くなった末十郎を当てにしては広間や炊事場にしょっちゅう出入りしている。 「おひつも空か。なら仕方ないから夕飯まで待「違います!」 泰助は周りを見回し他の子ども達がいないのを確認すると声を潜めた。 「武田さんのこと、聞きました?」 連日、全隊を挙げて京じゅうをくまなく捜しているにも関わらず、武田さんの捜索は難航しているようだった。 「ううん。見つかったの?」 「見つかったというか……どうも何者かに殺されたらしいです」 「ええっ!?捕まって斬られたの?」 「違います。どこかの橋のそばで喉を斬られて倒れていたそうで。争った形跡もなく短刀で急所を一突き……、だとか」 脳裏にちらっと、花街で男女のゴタゴタに見せかけてならず者を葬り去った山崎さんの姿が浮かんだ……オレは慌てて首を横に振った。いや、確かに武田さんに対しては見た目以上にすごく怒っていたとは思うけど……だからって、まさか。
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