道化師の思惑

33/36
前へ
/416ページ
次へ
開始4分を過ぎ、3度目のショックでも還らない そして、救急車のサイレンが近付いてきた 「…う……勇!…頼む……」 胸を見ながら息を入れ、2回繰り返す 「……笑って……勇……」 真っ青になっている頬に触れ、反応を見る 「……死なないで……生きて……」 腕を伸ばし、胸に手を当て、ピストンを15回 サイレンが止まり、目の前に救急車が停車 救急隊員が降りてきて、武来に近付いた ストレッチャーの上に乗せられながら、隊員がマッサージを始めた 「……ろ……」 「…颯汰!任せるんだ!」 「邪魔だ!退け!!」 孝太郎を突き飛ばし、武来の傍へ行く 「やめろ!勇に触るな!! ……勇!俺だ!起きろ!勇!!」 みんなが俺を押さえ込もうとした 暴れてみんなを振り切った それでも男5,6人の力じゃ、俺一人簡単に… (諦めて堪るか!!!) 自由になった左腕 隙間を縫って思いっきり武来の胸を殴った 二度 三度 「……勇ーーー!!!!」 「……待った!!脈が戻った!!!」 「…ーーーーッッ!!!」 救急隊員の一人が、俺の腕を掴みながら叫んだ 泣きながらその隊員を見上げた
/416ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3607人が本棚に入れています
本棚に追加