道化師の思惑

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付き合って2ヶ月経つ頃には、武来は自分の夢まで語るようになっていた。 「颯汰、今も夢ってある?」 「ある。」 「どんなのか聞いていい?」 「NBAプレーヤーになる。世界のトップでプロプレーヤーとしてバスケするんだ。」 「スゴい!…絶対叶えてね!」 「ああ。……お前は?」 「私は颯汰のお嫁さん!」 「あ。逆プロポーズ。照れる。」 「照れないでよ。私の方が照れてるんだから。」 「今すぐでもいいけど?」 「それは嫌!」 「あ。フラれた。可哀想。俺。」 「今は嫌ってこと。まだ」 「心の準備が出来てない。…だろ?」 「……!!」 「いいよ。待ってやる。俺、意外と気長らしいから。でもいつまでも待てないから期限付き。 3年。それだけ待ってやる。それ以内に答えを出せば即結婚。3年経っても出せないときは、一生出せねぇから即結婚。」 「どっちにしろ結婚!?」 「当たり前。俺のものになっておけ。」 癒される時間。 和める時間。 こいつが傍にいるから。 毎日が幸せになっている。 結婚の約束をした日から、武来はいろいろ変化した。 栄養士の資格を取ったり NBAのチーム情報を教えてくれたり 毎日ISNに俺を見に来たり 練習・公式は関係なく、試合すべてに足を運ぶ。 必死で俺のことを考える健気な一面。 それは、俺と共に人生を歩むための覚悟を決めたってこと。 その覚悟を自分で納得できるまで実行し、満足したら結婚話が再度出てくるだろう。 それまでは見守る。これは俺の覚悟。 お前と同じ。俺も覚悟が必要。 お前を丸ごと受け止めるために。
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