3608人が本棚に入れています
本棚に追加
「安藤さん!こいつ、ICD付いてるんです!」
「そりゃいかん。早く病院に連れていこう。行き付けは?」
「○○大附属病院!」
「そこに連絡して、新しいICDの手配をしてもらって。」
「はい!他は?」
「他は大丈夫だ。勇ちゃん、ちょっと肩見せてね。」
相当な衝撃だったのか、皮膚が裂け、一部のICDが剥き出しになった状態。
目を覆いたくなる衝動に駆られる。
手を握りながら電話を掛け、新しく手配を頼み、入院の予約も入れる。
「…颯汰…颯汰……」
「大丈夫だ。直ぐに病院に行こう。俺が連れていくから。大丈夫だよ。な?」
「うん。…大丈夫…」
「そうだ。その意気。」
チームメンバーも心配そうに武来を見る。
孝太郎は怒りに震え、今にも泣きそうだが、それどころじゃない。
後で泣かしてやるから。今は耐えてくれ。
そう心で詫びていたときだった。
「……そ……た……」
「!!……勇?……勇!!!!」
微かに聞こえた声を最後に目を閉じた。
頬を強く叩いても反応しない。
直ぐに胸に耳を当てながら首に指を当てる。
心音もなければ脈も触れない。
…発作が起きた。
…最悪事態。
なにも、こんなときに起きなくてもいいのに。
運命を呪った。
最初のコメントを投稿しよう!