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「こ……たろ……
救急車…呼んで……AED持ってきて…
……退いて…安藤さん…」
真っ白な頭なのにそれだけは覚えていた。
時計を見る
心臓が止まったら救急車
"AED"
そしてもう一つ
まず、気道確保
『そう!正解!』
それから…鼻をつまんで…息を入れる
『このとき、目線はどこ?』
…胸…
『どうして?』
ちゃんと息が入ったら…膨らむから…確認…
『アッタリーー!何回入れる?』
2回!
『そ。そのあとは?』
「…胸の真ん中に手の付け根を置いて、左手を重ねる!
3cmくらい沈むまでマッサージ!
1秒間に2回を目安に15回!
それを繰り返す!繰り返す!」
「…颯汰…」
「…勇!起きろ!
何度もお前に教えてもらった!覚えてる!
これでお前は助かる!俺が助ける!
ちゃんと守って見せる!だから起きろ!」
本当にやるとは思わなかった。
それくらい武来の命は死と隣り合わせ
ただ転ぶ。それだけで死ぬ。
「勇!…勇!!!戻れ!死ぬな!!!」
動かない武来に
必死に声を掛け
汗だくになりながら心肺蘇生
涙が溢れ、よく見えない
どうか…死なないで。
どうか…生きていて。
何度も願ったその願い
また、強く祈った。
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