道化師の思惑

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孝太郎はシーズンオフに予定通り和華結婚した。 結婚半年後、和華の腹に赤ちゃんがいることが分かると、トライアウトをやめようとした。 だが。 『孝太郎。生まれてくる赤ちゃんに胸を張れる? "君のためにパパは夢を諦めたんだよ"って言う気なの? 頑張って選手として戻って、せっかく掴んだチャンスを自ら手放すバカにならないで。 …颯汰。連れていって。男としてパパとして。孝太郎に胸を張れる人にして。』 和華にピシャリと言われた。 『女は強いな。』 『本当。怖いくらい。』 日本で子供を産み、1ヶ月後にはアメリカに来て一緒に住み始めた。 "家族は一緒がいい"と。そんな理由で鞄一つで乗り込んできた。 行動派・和華にビックリ。 俺たち日本人は、190cm越してもアメリカ人の身長には敵わない。 孝太郎は今までセンターのポジション。 だが、孝太郎より20cmも高い正センターからポジションを奪えず。 スリーポイントの正確さを買われ、シューティングガードに収まった。 俺は相変わらずスモールフォワードとしてチームで働いていた。 今年、注目選手として孝太郎と取り上げられた。 日本人から同じチームに同時にNBA選手に登録されたのは初めてだった。 そして、最下位に近かったチームが、俺たちを入れた今季、1位を独走状態だから。 『別に凄くはねぇよな?』 『そーそー。データがないだけだから、来年から苦しくなるぜ。』 『ま。データは覆すためにある。』 『出た!高校時代からの名言!』 チームのみんなは気さくで直ぐに打ち解けることができ、アメリカの生活を満喫していた。
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