道化師の思惑

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「本日のMVPは、71得点をマークした夏目颯汰ーー!!!」 俺たちのチームが有利に試合を運び、結局地区優勝を果たした。 最高の舞台。最高の日。 『颯汰。明日、勇ちゃん来たら言えば?』 『そうだ!颯汰!男だろ!』 『…みんな。マジで言ってんの?』 『ホーム戦だからしたい放題だ!』 『よし!みんな集まれ!成功するに10ドル!』 『俺も!』 『俺も!』 『賭けにならねぇな!おい!』 『つーか、俺を差し置いて話を進めるなよ!』 『お前は明日のことだけ考えてろ!』 『…ったく…』 昨夜、ミーティングを終わらせたあと、ある賭けが始まった。 監督までもが賭けに加わるほど。 でもそれは、武来がアメリカに来ることが大前提の話。 地区優勝を決定する大事な試合。 そういう場面で、常に現れた武来。 インターハイを決める試合 ウインターカップ決勝 対アメリカ戦 《今週末、試合に勝てば優勝》 《へぇ!スゴい!見たいな》 週の始め、そのメール以降の連絡が途切れた。 大歓声に包まれてコートの真ん中に向かう。 スポットライトが俺に当たり、MVPトロフィーを受け取って高く掲げる。 拍手と、歓声と、颯汰コール 今、会場内全員の目が俺に向かっている。
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