道化師の思惑

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「エア、停止しろ!自発呼吸も出来てる!」 「血圧も上昇、脈も安定し始めています!」 救急車に乗せる前で停止したストレッチャー さっきまで真っ青だった顔が赤みを増した その奇跡の光景を、全員で見守った 時計を見ると、心停止して約6分後。 俺を押さえていた腕がすべて離されると、ゆっくり武来に近付いた。 「……勇?」 おでこの髪を払い、頭を包むように触れる 「…………勇?……俺だよ………?」 頬に触れ、両手で包む 「……勇?……目を開けて?……ほら……」 ピクン!と目蓋が動いた。 その睫毛が揺れた。 黒い瞳が俺を捉えた。 そして、大人びた笑顔 「……声……聞こえた……」 「ーーーーーッッ!!!」 「……颯…汰……の…声…だった……」 「……ぅあああああああ!!!!」 涙が溢れ、膝から崩れ落ちた。
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