3607人が本棚に入れています
本棚に追加
武士のように勇ましい
武来は何度、こんな経験をしただろう?
その度に勇ましく勝ち進んでもぎ取ってる命
「…颯汰……ゴメン……颯汰…」
孝太郎に支えられて立ち上がり、再度武来の頬を包む。
「…良かった…勇…良かった!」
「…怖かったね……ゴメン……」
「大丈夫。何度だって助けてやる。」
「……颯汰……」
「だから傍にいて。俺から離れるな。」
「……………」
「…大好きだよ。…愛してる。」
生まれて初めて"愛してる"なんて言った。
そう思える相手がいる俺は幸せ者。
長い時間の心停止。不安が頭を過った。
でも、病院での精密検査では、脳波に異常はなかった。
これもまた奇跡。
直ぐに新しいICDが装着され、10日後、無事に退院した。
「広岡さんを訴える気はないよ。」
警察が事情聴取に来たとき、ハッキリと言い切った武来。
納得できなかったが、それは彼女の意思。
「"口論"の内容、颯汰のこと。…ただ、どっちも颯汰が好きだって話。必死になったって話。二人とも同じ気持ちってだけで訴えるのは可笑しいでしょ?」
…死ぬ寸前まで追い込まれたヤツの言う台詞じゃない。
でも、それが武来。
相手には誠実に接する。
そこにも惚れた。
最初のコメントを投稿しよう!