6人が本棚に入れています
本棚に追加
「……でも、あれだろ。ずっと一人は……寂しいだろ、多分」
青は小さな声で言った。
服田は前に向き直り、フェンスに凭れ掛かる。
「でも、家族がみんな死んじゃう寂しさよりは大分ましだよ」
「……どういう意味だ、それ」
「別に。そのままの意味だよ。それに僕は――友達作りが目当てでこの高校に入学した訳じゃない」
不意に振り返った服田は、青の目の前に立った。
フェンス越しに、彼らは見つめ合う。
(……邪魔だな、これ)
フェンスが邪魔だと思ったことは、今までに一度もなかっただろう。だが青は、こんなもの排除して、もっと彼に近づきたいと――触れたいとさえ思っていた。
神妙な顔つきで、服田は言った。
「僕は姉さんの自殺の真相を究明する為に、この高校に入ったんだ。だから、友達なんて僕には必要ないんだよ」
最初のコメントを投稿しよう!