第1章

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(砂漠の股下) 一人になった 私は生き方なんてわからない ただの小さなゴミ虫ですが 貴方をらしくなく愛してました 愛してしまった どれだけ身分違いだというのに 誰かに愛されたかった 誰かに側にいて欲しかった 誰かに求められたかった それさえあればいいのに それが一番難しいなんて なんて残酷 なんて鬼畜 なんてなんて なんで涙が出ないんだろう 何処にも行かないで逝かないで 離さないでずっと側にいて こんな私を愛してよ 突き放さないで 痛くしないで こんなに苦しいのに もう笑うしかない 毎日毎日私は 果てしない砂の上で 自分に合う穴探していて 埋まろうか 沈もうか いっそ潜るなら この焼けるような暑さも熱さでもう心地よい のか 冷たい水が欲しい 拾い上げる指が欲しい 日陰の懐にいたい 貴方ですか、貴方ですか 誰でもいいから 私を見つけて 一人になった 私は生き方なんてわからない ただの小さなゴミ虫ですが 貴方をらしくなく愛してました 愛してしまった どれだけ身分違いだというのに もう渇いてしまって 喉が身体が もう乾いてしまって 心が夢が 崩れた果てない砂漠に貴方がいました あてなくさ迷う貴方が近付いて 貴方がもがき苦しむ醜い私を見付けて 掬い上げました 貴方は私に涙を流し 私は息を吹き返し 目が合ったのだ 全て偶然偶々奇遇な話 身分違いの恋をしました。
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